筑前日誌

この世で起きた事件について語ります

福井女子高生刺殺事件① 〜犯人は被害者の祖父、祖父に懲役4年6ヶ月判決〜

f:id:tikuzenresearch:20220601003456j:image

 

どうもこんにちは、筑前です。今日で6月になりましたね。6月の最初の記事はこちらを取り上げたいと思います。

 

女子高校生の孫を包丁で刺し、殺害したとして殺人の罪に問われた福井市黒丸城町の無職冨澤進被告(88)に対し、福井地裁は31日、懲役4年6か月の実刑判決(求刑懲役8年)を言い渡した。(5月31日)


判決文などによると、冨澤被告は2020年9月、自宅で、同居していた孫で高校2年生の友美さん(当時16)の首などを包丁で複数回刺し、殺害したとされる。

犯行当時、被告は認知症を患っており、刑事責任能力の有無が裁判で争点となった。河村宜信裁判長は「被告は認知症を患っていたことに加え、犯行直前に友美さんともめ、普段以上に飲酒したことで、せん妄や複雑酩酊(めいてい)の状態になり、刑事責任能力が著しく低下した心神耗弱の状態だった」とした上で、「犯行当時、合理的な行動を取っていた」として、心神喪失の状態だったとする弁護側の主張を退け、被告の刑事責任能力を認めた。

また「犯行には強固な殺意が見て取れ、尊い命が失われた結果は重大。冨澤被告が親族の問題を一人で抱える状態だったことを考慮しても、一定の非難は免れない」と指摘した。

弁護側は控訴について、被告と相談しながら慎重に判断するとしている。

 

冨澤被告の弁護側は被告が友美さんとけんかをしたものの、憎んではおらず「殺意を抱いていたとは言えない」と主張。認知症を患う被告の意識障害は犯行の前後で最も強かった可能性があり、心神喪失だったと無罪を主張していました。冨澤被告の動機はそもそも何なのかと言うと、事件後に冨澤被告は息子に「ケンカをしていたら動かなくなった」と電話しており、取り調べでは「孫の口ぶりに腹が立った」「カッとなってやった」と供述していたようです。しかし状況を鑑みるとケンカから時間が経っても感情が収まらず、犯行に及んだと言われています。

 

家族の関係

冨澤被告は自宅に作業場を持ち、鯖江市の眼鏡会社の下請けをしている職人だったようです。冨澤被告の息子は冨澤さん夫婦と同居して家業の手伝いをしていたようですが、独身のまま40歳を過ぎてしまい、冨澤被告が息子の世話をし、息子はお見合いで中国人の女性と結婚したようです。そして結婚翌年に生まれたのが後に被害者となる友美さんだった訳です。冨澤被告は友美さんを非常に可愛がっていたようで、友美さんが幼稚園に上がってからは、雪の日も冨澤被告が車で送り迎えしていたようです。そして友美さんの3つ下に妹が生まれ、3世代6人で暮らしていたようですが、息子の奥さんが土地も合わなかったために友美さんが小学校に上がるくらいの時に息子家族4人が市の中心部に移り住んだようです。時は進んで2020年春に冨澤被告の妻が認知症脳梗塞を患って入院したタイミングで友美さんが「両親が喧嘩ばっかりしていて、見るのが嫌になったの」という理由で冨澤被告の元に身を寄せたようです。しかしその後、友美さんは信用していたであろう祖父である冨澤被告に殺害されてしまう事になってしまいます。

 

冨澤被告の裁判

冨澤被告は初公判で「殺意を持って殺したのは間違い」と殺意を否認しました。さらにその後に行われた証人尋問で、冨澤被告の長女で友美さんの叔母は事件後に「酒を飲んで友美をやった」と話していたと証言。しかし、弁護側の質問には冨澤被告が「勝手口が血で濡れているのはなんでだろうか?」と話していたと証言したようです。さらに長男で友美さんの父親は友美さんと冨澤被告との間で喧嘩があり、事件前に「友美を引き取って欲しい」と言われたと証言。

 

精神鑑定

冨澤被告の精神鑑定を行った中川医師への証人尋問によると、中川医師は冨澤被告の病状についてカルテなどから徘徊といった行動障害を伴わないアルツハイマー認知症だったとしたが「認知症が犯行に影響したとは考えにくい」と述べ、犯行当日の冨澤被告はアルコール検査などから普段より飲酒量が多かったと見られており、その影響で記憶障害や衝動的になる「複雑酩酊」や、意識障害などが起きる「せん妄」の状態になり、「抑制力が欠如して興奮を抑えきれず衝動的に犯行に至ったと推察される」と述べたが、中川医師は冨澤被告には「友美さんと喧嘩をするなど犯行動機があり、首を刺していることから犯行は一貫していて合目的性がある」との見解を示した。

 

感想

冨澤被告の印象はいつもニコニコして温厚な老人だったようで、冨澤被告が友美さんを車で送り迎えをしていたという話を聞くと、心からの悪人とは思えないです。しかし、冨澤被告は歳を取り、些細な事でキレやすくなってしまったのでしょう。人によるんでしょうが、やはり年を取れば取るほど怒りやすくなってしまい、それが最悪の形で発揮されてしまったのでしょう。友美さんは両親が喧嘩をしているのを見るのが嫌になり、冨澤被告と同居をするようになりましたが、子供の目の前で喧嘩を見せた両親の責任もあると思います。子供の目の前で喧嘩を見せるというのは虐待行為とされています。そして最後は小さい頃から可愛がってもらい、凄く信頼していたであろう祖父に殺されてしまったのです。あまりに可哀想な話です。個人的には、検察側の求刑8年に対する懲役4年6ヶ月という判決はあまりに軽すぎないか?と思ってしまいます。友美さんは上半身を滅多刺しにされていたという事です。そんな友美さんを滅多刺しにして殺害したという殺人犯の冨澤被告が懲役4年というのは納得がいきません。心神耗弱の減刑の下限は懲役2年6ヶ月のようですが、今回の場合は4年も減刑されており、いつもの弁護士お情けシステムの「8掛け」か、または「冨澤被告が親族の問題を全て1人で抱える状態」という点が情状酌量されたのでしょう。