筑前日誌

この世で起きた事件について語ります

宝塚ボーガン殺傷事件 野津被告の裁判が白紙に【あの事件を振り返る】

どうもこんにちは、筑前です。

今回は【少し前にあった事件を思い出そう】という題目で【あの事件を振り返る】という企画を始めたいと思います。

日本の事件報道というのは事件が起きた直後はとにかく騒がれるものの、とにかく騒ぐだけ騒いでその後の裁判・判決には誰も興味が無くなるというオチです。

そんな状況の中、私は「お前ら、あの事件を少し思い出そう、裁判も一応注目しよう」と思い、この企画をしているという訳です。

まぁこの広大なはてなブログの世界の片隅にあるブログはおそらく物好きしか見ないですが。

 

そして、今回取り上げる事件は3年前の2020年に起きた宝塚市のボーガンによる一家4人殺傷事件です。

当時、凶器が「ボーガン」というあまり見られないような事件で、このボーガンの規制も進んだことで少しは騒がれたので知っている方も多いでしょう。

ただ、この事件ってその後はどうなったの?って思ってる方が殆どだと思います。

そこで今回はこのボーガン事件について語りたいと思います。

 

事件発生

2020年6月4日、警察の元に「孫に矢で撃たれた」という通報が寄せられた。

警察が駆け付けると女性2人が頭に矢が刺さった状態で死亡しており、同様に頭に矢が刺さっていた男性1人もその後に死亡し、もう1人の女性も首に矢が刺さり重傷を負った。

そして事件現場で殺人未遂の現行犯で逮捕されたのは死亡した女性の孫である野津英滉被告(当時23歳)だった。

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事件の被害者は野津被告の祖母、母親、弟、伯母であり、伯母以外は全員死んでしまった。

そして野津被告は「ボーガンで4人を撃った」と話し、ボーガンというのは弓矢のように引いて矢を放つもので、海外では狩りやスポーツなどで使用されており、凶器として使われる事なんてほぼほぼ無いのである。しかし、このボーガンは簡単に手に入る割には殺傷能力が極めて高く、検察側の実験だとボーガンはベニヤ板を4枚〜7枚も貫通してしまったという。

野津被告は2020年1月にボーガンをインターネットで購入しており、これを見ると入手が容易い事が分かる。

野津被告は祖母・弟・伯母・母親の順番で矢を撃ったと供述していて、事件時、野津被告は祖母・弟とは同居していたが、母親・伯母とは別居しており、わざわざ母親と伯母を呼び出して殺傷したという事である。

さらに野津被告は事件前に確実に「家族を殺す為」にボーガンを撃つ練習をしていた事がわかっており、実際彼の自宅からは穴の開いた本も発見されている。読者の皆様がここで気になるのは、野津被告が家族にここまでの殺意を湧かした理由は一体何だったのかという事ですが

結論から言うと、結局未だに不明。

野津被告は事件時に「大学4年生」と自称していたようですが、警察が調べてみると2019年に学費滞納の為に大学を退学処分となっており、事件当時は経済的に苦しかったと見られています。

そして詳細は不明なものの、母親と弟との関係も複雑だったようです。

野津被告は取り調べでは動機について「家族に恨みがあった」と供述しているものの結局、何の恨みなのか、どういう状況だったのか、などは未だに分からないままです。

ただ、事件後の野津被告の精神鑑定は何度も延長されており、野津被告の精神状態に何かしらの問題があるという事は予想できます。

 

そして野津被告の判決はどうなったのか?という話ですが、約3年経った今でもそもそも裁判すら始まっていません。

去年の9月には判決が言い渡される予定だったのですが、裁判を前に神戸拘置所に拘留されている野津被告の精神状態が悪化し、治療が必要だと医師が判断した為に、野津被告の裁判が全て白紙になってしまいました。

詳細は案の定分からないものの、野津被告の精神状態は相当深刻らしく「裁判に出る事さえ難しい」と言われているような状態の模様です。今後野津被告の回復が見込めなければ裁判が取り止めになる可能性すらあると言われています。(おそらく地検が公訴棄却する可能性がある)

本来なら事件時に動機が分からなくても裁判が始まれば動機が分かっていくものですが、野津被告がそもそも裁判すら出来ない精神状態になってしまっている為に未だに動機が何なのか分からない事件となっています。

ただ本人が「家族に恨みがあった」と言っているように、弟には2本も矢が刺さっていた為に何かしらの怨恨というのは間違いないだろうし、詳細は全く分からないものの野津被告は精神状態がかなり悪いと思われるので動機形成には精神疾患も絡んでるのでは?と思います。

しかし、この事件に言える事は、あまりに情報が少ない。

 

まとめ

2020年、宝塚市で起きた一家惨殺事件。

「ボーガン」という聞き馴染みのない凶器だった為に注目を集め、殺傷能力が非常に高い割にインターネットで簡単に手に入れられた為に模倣犯まで現れ、国によってボーガンが規制される事態にまでなりました。

言い換えれば、それぐらい社会的影響が甚大だったという事になり、裁判では不利な情状の1つとなるでしょう。

本事件は弓矢で3人を殺害し、重傷者1人を出すという近年稀に見る超重大事件であり、永山基準から考えれば本来なら確実に死刑の求刑は避けられないでしょう。

しかし、言わなくても分かると思いますが、本事件の被害者遺族は被害者遺族でもあり加害者家族でもあるという家族間殺人特有の複雑な事情がある上、何より野津被告の精神状態が相当悪いと思われる為、死刑の求刑が回避される可能性も場合によれば十分に有り得るとは思います。