筑前日誌

この世で起きた事件について語ります

名古屋高齢夫婦強盗殺人事件 山田広志被告の死刑判決の裏側

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どうもこんにちは、筑前です。ブログのモチベが結構あるので続けて投稿します。

 

今年3月に名古屋で高齢夫婦を殺害し金品を奪った強盗殺人の罪に問われている山田(旧姓:松井)広志被告の判決公判が開かれ、名古屋地裁は死刑判決を言い渡しました。2021年8月に工藤會の野村悟総裁が死刑判決を受けて以来の死刑判決となります。

 

正直、計画性が全くないように見えるので判例から考えて極刑は回避されるだろうなーと思ってましたが、まさかの死刑判決だったのでめちゃくちゃビックリしました(可能性はあるとは思ってたものの、おそらく被害者宅に包丁を持ち込んでいる為に計画性があると認定されたのかも)

 

日本の国民は「死刑」というものが大好きなので、この死刑判決は「当然だ」と話題になっています(中国の死刑執行のニュースが再生数100万回以上、アフィカスでお馴染み事件系YouTuberですら死刑関連の動画を出せば100万再生行けるのが物語ってる)

そんな中で一応紹介したいのは、実は山田被告には複雑すぎる経緯があり、色んな事を経ての死刑判決なので、今回の死刑判決の裏側を話したいと思います。

 

まず、今年に開かれた山田広志被告の裁判は「2回目」です。

2回目の裁判で死刑判決が言い渡された形になっております。どういう事なのかと言うと後述しますが裁判がやり直しになった訳です。

最初に裁判が行われたのは2019年で、その時の彼の名前は「松井広志」被告でした。

これもなんで彼の名前が違うのかというと、実は寝屋川の中1男女殺害事件で死刑が確定した山田浩二死刑囚と養子縁組を結んだ為に「山田広志」に苗字が変わったわけです。

話を戻しますが、2019年2月5日、山田被告に言い渡された判決は無期懲役判決でした。

どうして2人も殺して無期懲役になったのかと言うと、強盗目的が認められなかった事です。(一応山田被告に知的障害がある事や計画性がないというのもひとつの理由でした)

1回目の名古屋地裁の裁判長は物色してる範囲が狭かった(?)というのを理由に強盗目的を認めなかった、という訳です。

検察側からすると自分達の主張が認められなかったので、もちろんこの判決には控訴しました。

そして2020年1月9日に控訴審判決があったのですが、下されたのは一審判決を破棄し「地裁差戻」でした。強盗目的があったという検察側の主張が認められたという形になります。差し戻しというのは現判決(今回の場合は地裁判決)にあからさまに問題がある場合、裁判をまたやり直すという事です。今回で言うなら強盗目的があったのに強盗目的を認めなかったという感じです。

そして検察側は納得したものの、山田被告の側は上告したので、最高裁がこれを棄却して裁判をやり直す事が確定した訳です。

しかし、2回目の裁判を待っている時に更なる事態が起きます。

2022年2月の下旬に山田被告がすい臓がんになっていた事が判明し、医師からは「ステージ4の末期で、あと5年も持つか怪しい」と余命宣告されてしまいました。(この事実がメディアに公開されたのは同年7月でした)

 

(この時点で山田被告は裁判やり直し、死刑囚の養子、末期ガンというあまりにも情報量が多い滅茶苦茶な事になっている)

自分は去年に山田被告が末期ガンになったという事を知って「多分、裁判も行われずにこのまま余命を迎えるだろう」と思ってましたが、まさかの今年に入り唐突に2回目の裁判が始まり(おまけに苗字も変わってる)死刑判決まで言い渡されるという想定外の事態になっていて相当ビックリしてます。

 

しかし、死刑判決は出たものの、死刑が確定するまで山田被告が持っているかは微妙でしょう。

もし確定しても執行は99%無理だと思います。

この死刑判決は裁判所側からの被害者への少しの報いでしょうか?